0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「ただいまぁ…」
「おかえり~。冬休みなのに登校お疲れ様!」
学校も終わり、家の玄関の扉を開くと、母さんが蔓延の笑みで俺を迎えてくれた。
母さんの言うとおり、今日は冬休みだというのに登校日だったのだが、玄関にまで匂ってきた食欲を豪快にそそる肉の匂いは、俺のモチベーションを多いに上げてくれた。
「今日はすき焼きよ~。なんてたって、年に一度のこの日に気合いいれないわけがないもんね~」
そう言って、嬉しそうにふふん、と笑う。
きっと母さんは今日を大事にしていて、今日に期待しているのだろう。
…俺と違って。
「…晩飯、できたら教えて。いろいろ準備してくる」
「あら、用意周到ね。まあ拓郎も17才になったんだから、しっかりしてきたってことね。…あ!いけない、お鍋に火かけっぱなしだわ!!」
バタバタと、母さんは廊下を走って行った。
持っていたおたまを振り回しながら走るものだから、ついていた液体がポタポタと床に落ちていた。
あーぁあ…。母さん、そういうとこ抜けてるんだよな。
俺は仕方なく、床を拭くためのタオルを取りに行こうとする。
しかしそこに
「母さん、床濡れてるぞ」
最初のコメントを投稿しよう!