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…親父がリビングから丁度出てきて、廊下で俺たちは顔を合わせた。
本日始めての顔合わせだが、ふんわりしてる母さんとは全く似てない、万年堅苦しい親父の顔は相変わらずだった。
「拓郎。今日は何の日か分かってるな」
特に表情も変えることなく親父はそう言って、上着のポケットから茶色い封筒を取り出した。
「これが今年の分だ。去年より多めにしてある。…時間通りに間に合うように終わらせて来なさい」
「……あぁ」
俺は封筒を受け取り軽い返事をすると、親父を避けて引き続きタオルを取りに向かう。
親父はその俺の背中を見ていたのかどうかは知らないが、何も言わずリビングへと戻って行った。
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