偽善と善良

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「さて」 12月25日、午前00時10分。 メリークリスマス。そして俺の年に一度の仕事が始まる。 家の裏口から外に出ると、駐車場の隅っこから赤色の自転車を押し出した。 黒色の全身つなぎと、黒色のニット帽、黒色のネックウォーマーに黒色の厚手の手袋。 防寒対策は万全だが、これでも体は震えるほどに寒い。 背中には白色の布袋を背負っていた。今年は去年より2件多い5件分の仕事がある。袋はわりと重たかった。 「はぁ…」 白い息を吐きながら、漕ぎ始めた自転車。冷たい風が皮膚をピリピリと刺激した。 1件目は近い。 すぐに辿り着いて、俺は我が家に代々伝わる仕事へと入る。 …子供に夢を押し付ける、偽善と自己満足のかたまり、サンタクロースの仕事を。
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