偽善と善良

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「電柱から…行くか」 俺は頭の中の経路をひとつのパターンに特定させる。 目的の子供部屋は、2階の道路側の角部屋だ。 そこへ最短距離かつ最短時間で辿り着き、脱出しなければならない。 それには電柱→屋根→ベランダ→部屋→ベランダ→屋根→電柱、が一番手っ取り早い。 キョロキョロと周りを見渡して、誰もいないことを確認。 家の灯りは消えていた。 「…よっ!」 タタタタタ、ガッ! 躊躇いはない。 俺は助走をとって、勢いのままにジャンプ。高さを得ると、電柱にしがみついた。 見目は悪いがよじよじと登って、やがて梯子(はしご)みたくなっている足場に手が届く。 足場に手をかけ、腕の力だけで少し登ると、屋根に降りれる高さになった。 足で電柱を蹴って横へ飛ぶと、屋根に乗り移ることに成功。 …よし、ものの5秒でできた。 毎日筋トレをしたかいがあった。去年より確実にうまくできている。 サンタクロースの仕事は正直好きじゃないが、こういう努力が実るのはわりと嫌いじゃない。 俺は一年かけて得た達成感に浸りながら、屋根から降りて2階のベランダに降りる。 いや、降りようとした。 「あーら、よっとお!!」 ガッチャン! そこで最悪が舞い降りた。
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