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トントンと靴を履いた爪先で軽く二回床を蹴り、靴と足の密着を完了させて右手に持つ鞄を背に担ぐように持つとまだ日中の朝日を見上げて校門に目を移し、歩き出した。
学校から家へと向かう中、色々と何をしようか思考を迷わせた。迷うことに意味を感じる私はふと思う。
まだ暑いこの時期、正確にはこれから暑くなると言えるのだが意外に強い日差しに汗はかかないものの若干の水分不足を訴えている身体。
左ポケットには小銭があり、歩を出すとシャンと鳴り、少し風鈴の音色を頭に浮かべて目に留まった歩道の端に佇む自販機を見て、立ち止まる。
丁度良い具合に見付かった自販機に歩みより、冷たい飲み物を先に見渡した。
炭酸飲料もあるが、自分はブラックコーヒー派なのでそれに決め手左ポケットに左手を突っ込んだ。
指先に感じる円系で厚みがないそれを引っ張りだし、自販機の口へと滑り込ませた。それは500円であり、久し振りに拝んだ銀色タイプだった。
一瞬返却レバーに手をかけたが潤いを求めるその純粋な水分補給の欲求には逆らえず、コーヒーの品のボタンを押した。
ガタンと下から音が聞こえれば次には小銭がジャラジャラと出てくる音を聞いた。
返却口に手を入れ小銭を左ポケットに押し込み、取り零しがないか思考してないのを理解して自販機の前で屈んだ。
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