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「小野上君、さて君に面白い事を教えよう。君は此処に来るまでにあらゆる式を…即ち真理を見ている」
講義の時のように、瓜二つな少し野太い声が鼓膜を揺らし、本人と見分けがつかなかった。
もしや、ドッキリなのかもと思ったがそんな事はしないし出来ない、ならば…偽物。
「真理…つまりは…私が見たのは物理学に留まらず、世界を激しく揺さぶる知だとは理解してます。それが何か?」
椅子に座る私に真剣な眼差しで此方を品定めしているのを理解したが何も言わず頬杖をついた。
「忘れてくれたら、良かった。理解しなかったら、良かった。でも君は覚えて理解した、それもあって君を私の元へ連れてきた。分かるね?」
あぁ、分かる。幾多かのルートを瞬時に予測して御手上げ状態なのに少し深く考えたが諦める事にした。
除け者の始末が妥当なルートだろう。
「違う、言うと君を並列世界へ飛ばす気何だ」
並列世界、パラレルワールドだろうか?そこに私を島流し状態にして、解消…なんて非効率で意味がない解決法だ。
気付けば
「くっくっ…」
笑っていた、異世界に飛ばすこと、それは色々な解釈が出来る。どんな事を言うのか、ただ相手の出方を見ることにした。
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