迷い込んだ者たち

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「だとしても、この太陽電池いくらかかったの?そして採算がとれるのに何日かかるの?」 「夢がないねぇ国が抱えるエネルギー問題と環境を考えて買っているんじゃないか。」 「父さんの場合は新しい物が好きなだけのような気がするけど。」 晃がそのハイテクシステムとは対照的に築百年を誇るボロボロの家を眺める。 瓦こそソーラーパネルで覆われているが畳に襖、近くには時代劇に出てきそうな蔵がある。 「まぁ、別に良いけど貯金もまだ沢山あるんでしょ?」 「まぁな、それに農家は燃料を含めて色々免税されているしな。」 「脱税とかだけは起こしてないよね?」 「流石にないない、確かにガソリンスタンドが一時期空になっても入れなかった時期があったけど脱税とかはしてないからね、本当に。」 窓から少し錆びたガソリンスタンドの看板が覗くように見えた、一度は潰れる予定だったガソリンスタンドだがこれからまた働けることを喜んでいるのか、くるくると回転していた。 「車に乗るなら給油してくれ裏にホームタンクがあるなるべく使い切ってくれ、JAのセンターから軽油が貰えなくなる。全くスタンドに入りきらなくなるとは、あそうだ全部発電に回して電力会社に売ろうかな。」 「父さん、年末の工事を増やすようなノリで言わないで、というか後半ヤバイようなこと聞こえたけど敢えて聞かなかったことにするからね。」
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