不審者

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「メリッサ少尉殿、実は自分今から探す相手の車両見たことがあるのかもしれません。」 クラッチを忙しそうにガチガチといじりながら軍曹は相手のことに関して話す。 彼が言うにはその不審者の乗っていた車両は白くて少し無機質悪くいえばデザインが悪い車だ。 また見た目からして貧弱そうに見え大きな玩具の車の印象が強かった。 「白い車とは珍しいな、しかしますます訳が分からないスパイならばそんな車使いたがらないだろうし、本当に危険な人物なのか不安になってきた。 まぁ不審者には変わりがないから行くがな。」 彼女は鼻息をならし銃の安全装置を外しホルターに収める。 すると彼女は何かに気付き停車命令を下す。 「停まれ、轍がある。」 軍曹はブレーキを踏み目の前の道を確認する。 すると轍の後が幾つもある。 「相手は複数かもしくは何度も同じ場所を通ったか。」 腕を組み数秒の沈黙の後、すぐに命令を出した、装甲車を先に前進させそれに続き歩兵が走ってついて行く。 「敵に先手を打たれなければいいが・・・」 彼女が心配する中10分もしないうちに報告が入る。 なんと森の中に建造物が発見されたのだ。 いつの間に作ったのか、小屋などではないのかと疑問を持ちさらに追求する。 「建造物の特徴を正確に報告しなさい。」 すると無線からは困惑混じりの声で応答される。 「建造物に少し錆びた看板が掲げられています、何を書いているかは不明です、見た目はガソリンスタンドのようにも見えます。奥の方には屋敷にしては貧相で家にしては大きな建造物があります。」 それを聞くとメリッサ少尉はますます分からなくなった、ガソリンスタンドらしき物が仮にガソリンスタンドだとして何故こんな山奥に仮に違ったとしても何のための施設か。 それに屋敷未満で家以上。 もし立てこもりをされたら厄介だがどうせならば小屋かテントだけにした方が見つかりにくいだろうし効率的なのではないか。
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