不審者

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「顔の特徴はわかるか?」 メリッサ少尉はもう一度無線機を握り顔の特徴を捉えようとする。 顔の特徴を捉えるには理由がある、まず清潔なのかどうか。 清潔であることは馬鹿にならない、軍隊とは抜き打ちの訓練や戦場を除いて規則正しく生活をさせている。 もし環境が整っているにも関わらず髭を伸ばしたり服装が乱れていたりしていたのならば軍隊の服を着たならず者の可能性もある。 「すみません、顔までは確認できません、昼でも全員帽子をしっかりと被っており顔まで確認できませんでした、ただ作業着を着ていた方の男性は顎に切り傷があります、恐らくひげ剃りに失敗したのかと。」 でかしたとだけ伝え彼女はサイドミラーを見ながら身だしなみをもう一度チェックする。 相手がならず者ではないと確信が持て心の奥底から胸を撫でた、しばらくするとガタガタしていた道が急に振動をなくした。 何事かと思い視線を地面に向けるとアスファルトの道が塗装されていたのだ。 さっきとは逆に心の中で舌打ちをする、やはり後方の兵の練度は低い、建物だけではなくこのようなところも報告するべきだ。 加えて周りを目を凝らして見ると見たことのない木々がある。 少なくとも自国の木ではない。 捜索隊は木の種類も見分けられなかったのか、一瞬司令官が過剰ともいえる数を派遣した理由が分かる。 無論、大事な時にいない司令官も司令官だが。
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