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彼しか私を「マコ」と呼ぶ人はいない。
心臓も呼吸も止まってしまった。
「え? あれ? ま、マコさん? 俺っすよ? 黒沢祐治」
祐治は携帯の向こうで慌てていた。
なぜか、すぐに思い描ける。
「……知ってる」
「あーっと、よかった。間違えてかけたのかと思った」
「何で……私の電話番号知ってるの」
「んー? それよりさ」
極自然に祐治は続ける。
「今から会いに行ってい?」
「……私は会いたくない」
違う。祐治の顔を見たら泣きそうだと思ったからだ。
「……お願いします。合わせてください」
祐治が携帯片手に手を合わせている気がした。
私は無言。
「マコー。俺、今日、誕生日なの。プレゼントもらわなくても我慢するからさー」
「……うはっ、もらうの前提なわけね」
「もちっ!!」
祐治は元気に応える。
私は何だか、あの頃と変わっていない祐治が嬉しいかった。
「いいよ。今ちょうどいつも行ってた公園のとこ」
「ラジャ」
言うが速いか、携帯を切るのが速いか。
それとも、彼が駆け込んでくるのが速いか。
祐治はいきなり私に抱きついた。
私は固まってしまった。
「え、ちょっ、祐治?」
「好きだ!」
答えるより先に笑えてしまった。
hello. hello.
今日も正常のようですね
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