あいつがにくい

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あいつがにくい

今年がもうすぐ終わる。 それなのに、私はまだ彼と連絡が取れないでいる。本当はとてもとても連絡がとりたいくせにその一歩を踏み出せない。 理由は今年のクリスマスにさかのぼる。 一二月二十五日――サークルの忘年会が会った日だ。ちょうど、大学の冬休みの一日目でサークルの皆と騒ぐことになった。 彼とも同じサークルで忘年会があるからちょうどいいと思っていた。だから、クリスマス・イブには何も渡さなかった。 忘年会が終わって、彼に家まで送ってもらっている途中、私は勇気を振り絞った。 「あのさ、」 「何?」 ほろ酔いぎみの彼が私の方に振り返り目を瞬かせた。 不思議そうな彼をよそに私は鞄の中を探る。目的のものを二つとも見つけて、彼の方にずいっと出す。 「はい、これ」 そう言いながら彼の顔を見ずに、俯いて目を瞑る。いつもマイペースで、よくわからない彼がどうでるのか不安だった。喜んでほしいな、とそれだけを心の中で神様に頼む。 彼からの反応がなかなか返ってこない。 一秒一秒がとても長く感じる。 「ああ、今日、クリスマスだっけ。ごめん、プレゼント用意してないや」 彼が申し訳なさそうに言いながら、私の手にあるプレゼントを受け取る。 私は勇気を出して顔を上げた。 彼のはにかんだような笑顔――私の好きな表情だ。期待はしてたけど、彼がイベントごとにうといことはわかっていたから我慢する。ただ私がプレゼントしたかっただけだ。 「でも、何で二つなの?」 彼が不思議そうに呟いた言葉に私の思考は止まった。三回ほど瞬く。 彼は私を見つめているままだ。血行の良い頬はほんのり色づいている。いつもぼんやり顔で、肌の白い彼が頬を染めることなんてことはめったにないことだ。でも、それはこの雰囲気のせいではなくて、お酒のせいだ。
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