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そこまで思い出して、大きな大きなため息をつく。
手にした携帯電話の画面には、何回も推敲したメールが映っている。クリスマスのことを謝ったメールだ。
十二月二十五日、その日は彼の誕生日だった。だから、クリスマスプレゼントと一緒に誕生日プレゼントもわたした。
彼は、自分の誕生日を忘れていたのだ。
信じられる? 自分の誕生日をだよ、自分の。
私は、彼が生まれた日だからとても嬉しい日だと感じたのに、彼はそうではなかった。
何か、自分だけがんばっていたみたいで無性に情けなくなった。
「バカだなぁ」
私もあいつも、と付け足す。
彼とは、彼の誕生日から会っていない。連絡もとってない。
私から連絡しないと、彼との繋がりは一気に薄れてしまう。彼は用事が無い限り、メールも電話もしてこない。
私、恋愛もわからない子供みたいだ。何で、こんなに素直になれないんだろう。
……、もういいや。考えるより行動しなきゃいけないのは、経験してきた。
そっと、送信ボタンを押す。
思いの外、彼の返信はすぐだった。彼専用にしている着信がなる。
私は噛みつくような勢いで携帯電話を取って、受信メールを開く。
――何で謝ってんの?
彼からの返信なんてこんなもんだ。
私は怒るよりも先に呆れた。
彼が好きになった理由が少しわからなくなった。
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