第三章・ー最後の一人ー

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「ん? 今お前、心に決めた()()って言ったか?」  うわっ。しまった。思わずするっと言っちゃったよ。  別に絶対秘密って訳でもないけど、知られたらちょっと恥ずかしいよね。  今のところ集君にしかちゃんと打ち明けてないけど、これから週末は秋君と過ごす時間も増えるだろうから、話さなきゃいけないかな。 「お前、好きなやつとかいるのか?」  そんな事を考え込んでいる私に、秋君が訝しげな表情を浮かべて聞いてくる。  いたら悪いのかな? 私にだっているわよ、好きな人の一人や二人くらい。  って、本当はうーちゃん一人だけだけどね。 「い、いたら悪い?」 「いや。悪くはない。済まなかった。ちょっと、想像が出来なくて」  口許に手を充てながら結構失礼な事をさらっと言ってくれる。想像出来ないってどういう事よ?  ん? 私にだってねぇ、乙女な部分はちゃんとあるのよ。  格好良い人を見たらときめきもするし、こう見えて好きな人には一途なんだからね。  ……って……秋君って……。
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