第三章・ー最後の一人ー

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「秋君ってさぁ。もしかして、照れたりする時に、口許を隠すクセとかある?」 「えっ!? な、ない!」  あ、あるのね。耳まで真っ赤。ごめん。ちょっとからかった感じになっちゃったかも。  茶化すつもりはなかったんだけど、まさかここまで素直に反応してくれるとは思わなくて、本当にごめんなさい。 「うん。ないよねー」 「ああ。ない。本当にないからな? 勘違いするなよ? 本当に」  必死になって否定しすぎだよ、秋君。これじゃあ騙せる相手まで疑いにかかりたくなるよ。 「うん。大丈夫。そういう事にしとく」  止められなくてくすくす笑いながらそう返すのに、今までとは違う意味でちょっと不機嫌になった秋君が言い募る。 「お前、理解していて言っているな」 「だって秋君、可愛いんだもん」 「なっ!? どこが!」 「あれ、照れ隠しなんだよね?」  そういえば私の前で何回かしてたなぁ。  気付いちゃったら、ただの可愛いクセだよ。
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