第三章・ー最後の一人ー

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「用がないなら帰るぞ」  しばらく待ってくれていたけど、秋君も限界がきたらしくてため息混じりにそう続けられた。  ……残念だな。  もうちょっと一緒に話して、色々知ってみたかったのに。 「し、週末、くるよね?」  念のため確認してみると、本当に渋々といった感じで頷いてくれる。  よし。ちょっと二人の反応が怖かったのはこの際気のせいという事にして、取り敢えず集君の了解ももらったし、これで週末は楽しい時間が過ごせそう。  良かった。本当はいきなり二人っきりとか、ちょっと心構えが必要だよねーとか思ってたし。  ……ん? そういえば、今も秋君と二人っきり……。  あ、深くは考えないようにしよう。そうしよう。 「分かったら、ん」  それで本当に話が終わったと判断したのか、秋君が少しだけ歩み寄ってきて、手を差し伸べてくれる。  手、手を、取れって事だよね? 恥ずかしいよ。  でも、これ以上機嫌を損ねる訳にもいかないよね。
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