第三章・ー最後の一人ー

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「着いたぞ」  理解はしていたけど、本当に短い道のりだったな。  もう凄く名残惜しい。でも、明日もまだ学校があるし、あまり遅く帰らせたら秋君がご家族の方に怒られちゃいそうだし。 「おやすみなさい」 「帰ったら………………」  の後が続かないよ? た、多分「帰ったらメールする」だよね。 「うん」  言葉を予想して、秋君らしいと思わず満面の笑みで返したら、耳まで真っ赤になりながら視線を逸らされる。 「……ごめん。あんまり、会話も得意じゃあない」 「みたいだねぇ」  友達でこんなんなるんじゃ、秋君の恋人になる()って、家柄も含めて滅茶苦茶大変じゃない?  うーん。多分決められた相手と結婚したりするんだろうし、別に変な想像したりはしないけど、何だかなぁって感じ。 「じゃあね」  いつまでも向き合っている訳にもいかないから、手を振って家の中に入ろうとする。
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