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歩き出す。校門を過ぎて中庭らしきところへ出たのは良いけど、……職員室って、どこ……?
誰か都合良く通ってくれないかなー、とか思ってきょろきょろと辺りを見回していると、向こうから走ってくる人影が見えた。
ラッキー。遅刻しそうな事を伝えて、あの人に職員室まで案内してもらおうっと。
そう思って待っている間に、近づいてくる相手を観察する。
……肩につくかつかないかに短くまとめた黒髪と鋭い瞳で、下はモスグリーンを基調としたチェックのズボンに上はブラックのブレザーとシャツを着た、凄く困った表情を隠さない男子生徒だ。
男子生徒は走るのに夢中になりすぎて、私という存在に気づいていないのか、一旦はものすごいスピードで通りすぎようとする。
だけどすぐ、ユーターンすると私を見て一言。
「ちょっと失礼」
「え?」
意味が分からず返すのにも構わずに、彼はすぐさま私を強く抱きしめると、更に唇まで重ねてきた。
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