第三章・ー最後の一人ー

3/46
67人が本棚に入れています
本棚に追加
/159ページ
 薄い茶色の髪を耳にかかるくらいの短さでまとめて、黒い瞳が綺麗で吸い込まれそうな程に澄んでいる。  この学校の制服を身にまとった男の子が、透き通るような白い肌にすらりと通った鼻筋と、凄く整った顔立ちに笑みを浮かべて首を傾げる。 「こんにちは」 「……あ。こ、こんにちは」  やっぱりこの男の子、私に挨拶してる。  でも私、こんな知り合い学校にいないよ?  もしかして、誰かと間違えているのかな? 「あのぅ……。初めまして、ですよね?」  思い切って聞いてみると、質問には答えずに背後に視線を向けられてしまう。 「悠ちゃん、ごめん。遅くなった」  すると集君がやってきて、謝る仕草を見せながら男の子に言ったんだ。 「(うみ)、ちゃんと自己紹介した?」 「いや。まだだよ」  し、知り合いなの? ……そういえば私、五人組の内残り一人を、まだ紹介されてないよね。  もしかして、彼がそうなの……?
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!