第三章・ー最後の一人ー

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「悠ちゃん、ごめんね。秋忠のやつ、週末急に彼からの連絡を浮けて、予定を変更せざるを得なかったんだって」 「悠……」  集君が説明してくれる背後から、秋君が申し訳なさそうな表情と共に顔を出す。  ……でも、そうならそうと、何か一言くらいはあって良かったんじゃ……。 「ごめんね。俺のせいなんだ。久し振りに退院出来るからって、秋忠の都合も考えずに連絡をしてしまって……」  誰の言葉にも応えずに俯いていると、今度は集君に“うみ”って呼ばれた彼が説明をしてくれた。  ……退院? 気になるキーワードが出てきて顔を上げると、とても済まなそうな秋君と視線が合ってしまう。 「海は昔から身体が弱くてな。よく、入退院を繰り返す。だから、連絡があった時はどうしてもそっちを優先してしまうんだ」 「……」  そ……う、なんだ。うみ君、身体……生まれつき弱いのか……。  ちらりと見ると、ふわりと優しく笑みを浮かべられる。 「あの……」  自己紹介、お互いにまだ、してないよね……?
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