第三章・ー最後の一人ー

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「鳴海悠って言います。口に鳥の鳴るに海で鳴海。悠々自適の悠で、鳴海悠です。宜しくお願いします」  ぺこりと頭を下げると、何故だか小さく笑い声がして、返事があった。 「頭を上げて、悠ちゃん。俺の名前は、()()(づき)(うみ)。旧暦の六月、分かるかな? それに、同じ海だよ」  ……分かる。  でも珍しいな。よくある“かい”とかいう読みじゃなくて、普通に“うみ”って読むんだ?  漢字だけで見たら、まず間違えられる呼び名だよね。 「えっと……。それで私はどうすれば……?」  自己紹介はしたけど、それで何をどうすれば良いんだろう?  いきなり逢わされて、何をすれば良いんだろうか? 「済まない、悠。話をしたら、海が是非逢いたいと言い出したもんだから」 「あ、そうなの? 初めまして」 「初めまして」  何かよく分からないけど、取り敢えずそれだけやっとけば充分だよね。  ていうか、何て呼ぶべき……?
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