第三章・ー最後の一人ー

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「理解している。傷付けてしまって、本当に済まなかった」  もう一度真摯な態度で謝られて、別に心の底から怒っていた訳でもなくて……ただ心配だったから、そう言って様子を伺うと、秋君はしばらく何か考えた後にふ……と微笑んだ。 「悠、放課後予定は空いているか?」  それがとっても優しくて柔らかいもので、思わず見惚れてしまって、一瞬答えに詰まる。 「……」 「悠……?」 「……え? あ! ご、ごめん。えっと、空いてるよ」  そう答えると、安心したのか続けてくれた。 「そうか。なら、必ず行くから教室で、一人で待っていてくれ」  ……もしかして、日曜の埋め合わせをしてくれるつもり、なの……かな?  しかもいきなり二人だけで?  秋君って、時々何を考えてるのか分からなくなるなぁ。  断る理由だって、意味だってないし、むしろ期待してたりもするんだけどね。  “一人で待つ”って、今の私にはかなりハードなミッションだよね。  絶対宮君とかが詮索してきそうだしなぁ。
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