第三章・ー最後の一人ー

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「あ、やっときた! 集君、あのさ……」 「……? 何かな?」  手振りだけできて欲しいと合図をすると、訝しげな表情ながらも素直についてきてくれる。 「えー? 悠ちゃん、集君とナイショ話ー?」 「ちょっと待て宮。さすがに内緒話についてっちゃ駄目だろ」  背後で宮君が口を尖らせながらついてこようとするのに、慌てた様子で俊君が襟首を掴んで止めてくれた。  ありがとう。俊君って茶化す時は宮君に便乗している感があるけど、こういう……空気を読んでくれるだけの優しさがあるのは凄く嬉しい。  お詫びとお礼の意味を込めて振り向くと、片手を挙げながらウインクしてみたら、何故だかちょっと顔を赤くして視線を逸らされてしまう。  ……? 何だろ? 私、変な事しちゃったかな……?  まぁ良いや。とにかく今は、集君との会話に集中しないとね。 「悠ちゃん、どうかしたの?」  首を傾げながら集君が聞いてくるので、少し声のトーンを落として応える。
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