第三章・ー最後の一人ー

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「あのね。放課後は、秋君から誘われちゃって……。その……、一人できて欲しいって言われてるんだよね」  そこまで説明したところで事情を察知してくれたのか、明るい表情に戻った集君が頷いてくれる。 「デートのお誘いだね?」 「……うんそう……。って、え!? ち、違うよ! だって秋君、こないだのお詫びだって言って……」  肯定しかけてからかわれている事に気付いて、小声ながらも微妙に動揺しながら否定するのに、その様子がおかしいのか肩を震わせながら集君が返してくる。 「理解しているよ。からかってごめん。秋忠は真面目なやつだから、付き合ってあげてね」 「う、うん。そのつもりなんだけど……」  あーもう。そういうのはかなり心臓に悪いよ。もう恥ずかしくて死んじゃうかと思った。  とにかく話を戻してくれた事に感謝して、そう言葉を濁すといち早く察知してくれたみたいだった。  愉しげな声音で、私を見詰め返しながら続ける。
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