第三章・ー最後の一人ー

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「……もしもし集君? 今日はありがとうね。助かっちゃった」  集君がすぐに出てくれたので、取り敢えず今日のお礼だけ言っておこう。  すると集君は、いつも通りの明るさで大丈夫だからと返してくれた。  週末の話を楽しみにしていると言ってくれた後で、秋君とは楽しく過ごせたかを聞いてきた。  進展があったかを確認するためなのか、少しばかりいつもとは違う口調で秋君の良さを教えてくれる。  どうやら秋君と別れた後で、部屋でかけているものと思っているらしい。 「ち、違うよ。まだ隣にいるから。恥ずかしいよ、集君」 「……」  隣で秋君がはらはらしながら私と集君の様子を見守っている。  そんな秋君を横目にして話を続ける。 「うん。それなんだけど、週末ね、秋君も一緒に行って良い?」  って、言った途端に集君の声が途切れて、しばらく無言という沈黙が続く。
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