第一章・―想い出―

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 さて、私も教室……。教室戻……。……どうしたのかな? 用件を告げて役目も終わった筈でしょ? どうして秋君、こっちガン見しながら微動だにしないんだろ……? 「……」 「な、何か用……?」  思い切って聞いてみると、秋君はしばらく返答に困った表情を見せてから呟いた。 「いや。……あのな。ちょっと、(とし)に説教された」  ……また知らない名前出てきた。  とし君? って誰? ていうか、知ってる前提で話さないで欲しいなぁ。  困るんだけど。 「……な、何を?」 「全部話した。今朝の事を。そうしたら俊に、“女の子にとってのファーストキスは、命より大事なものだから謝ってこい”と言われた」  け、今朝の出来事を他人っていうか、とし君とやらに話したのね? 何気に恥ずかしい。  ていうかこの人、話して恥ずかしい事とか、そうして欲しくない時とかあるの、理解してないのかな?
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