森の番人と温泉と

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尾根伝いに進み、何とか岩場に取り付こうとした時、遂にメイリンの攻撃が始まった。 「しっかし早いな…ってか、メイリンも良く、あんなに早く移動するマオマオの上で撃てるわ」 メイリンが放ったサーモバリック弾は、見事に野砲陣地手前の岩場に着弾した。 それも、移動してるので発射地点が分からないから、野砲は撃てないし、気化爆発の効果で野砲陣地だけで無く、その下に居る兵士も巻き込んでる。 連続して6発もあんなもん食らったら、あの辺りに陣取ってた兵士は堪らないだろう。 そして、これに呼応する様に、アイラやシュアン達も攻撃を始め、あちこちでサーモバリックが爆発し、更にはメイリンがグレネードを乱れ撃ちし始めた。 此処で漸く野砲の準備が出来たのか、着弾修正用に発砲したが、それ以上の発砲は無理だった。 1発撃った事で、野砲の位置がバレた為、アモンとジェスやアメリアの空からの攻撃に晒され、遂には誘爆を起こしたのか、鈍い爆発音と共に砲身が吹き飛ぶ。 アメリアはそのまま岩場を飛び越えると、今度は地上への攻撃を始めた。 その火力は、正にガンシップと言える凄まじさで、しかも敵が撃てば、そこに地上と空から攻撃が集中して直ぐに沈黙して行った。 「逆の立場じゃ無くて、マジ良かった」 俺は、そう呟くと、指揮官やローブを纏った魔術師らしき者達が、洞窟の中に逃げ込む後を追って岩場を進んだ。 入り口付近の兵士を片付け、弾体を付けたSMAWを肩に担いで中へ進む。 幾つかの回廊を曲がると、今まさに将官クラスが次元の通路へ入ろうとしている所だった。 …しっかし…ブービートラップの一つも仕掛けて無いって事は、後に続く者を期待してたのか、又戻る事を想定してなのか… それとも、慌て過ぎて忘れてるのか。 「仁!」 「シッ!」 アモンの呼び掛けに、唇に人差し指で話さない様にと合図し、ハンドシグナルで奴等が逃げようとしてる事を伝える。 最後の魔術師が通路に入ろうとした瞬間、俺は引鉄を引いて奴の脚を撃ち抜くも、這いつくばって通路の中へ。 「アモン、壁を抜かないでぶっ放したら、俺達黒焦げになるぞ」 「分かっておる」 言うと、通路の反対側にある岩場に、大穴を開いた。 「二度と此処へは、来るんじゃ無いぞ」 俺とジェス、それにキロは両肩にSMAWを担ぎ、アモンはカールグスタフを、一斉に通路の向こう側へ向けてぶっ放した。 「炎が逆流してくる、急いで避けろ」 ジェスがそう叫ぶと、通路の途中に居た魔術師が炎に焼かれて断末魔の悲鳴を上げ、と同時にこちら側へ炎が噴き出すと、その瞬間通路も消えた。 「さて、奴等は此処へ通路を繋ぐ為に、何を目印にしてたのか…」 アモンが辺りを見回す。
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