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「宇宙に打ち上げたから、何だと言うんだ」
「あれぇ?知らないんだ。
宇宙って真空なんだよ、つまり通路を繋いだ途端にお前の世界の物は何から何まで吸い出されて、宇宙に放り出される訳。
そして人間は、真空状態に放り出されると…
膨らんで、パン!破裂しちゃうんだな」
魔術師の顔が、見る見る歪んで青くなって行く。
「そっ、そんな…非道な事を…」
「お前が言えるのか?
好意的に受け入れてくれた世界に、侵略目的で病原菌ばら撒いといて、よく言うよ」
「それは…」
「だから禍根を断つ為にも、お前の世界には滅びて貰う。
って事で、何ならお前も一緒に宇宙の旅に行くか?」
「いっ…や、止めて…くれ」
「ふぅん、自分は死にたく無いってか?
でももう、お前の戻る世界は無いぞ、どうするんだ?」
「ゔっ…それは…。
いや、戻れる、それが有れば戻れます。
そして二度と此処へは来ない様に、私が説得しますから」
「ほぅ、随分と虫のいい話だな。
此処に来なくても、他へ行って同じ事をしないとは約束出来ないだろ?
それに説得するって言っても、置いてきぼりにされる様な魔術師の言う事を、誰が聞くと?」
「虫のいい事は、分かっております。
でも、あなた方の攻撃で我が世界の1級魔術師が被害を受けて居れば、次は魔力量が不足している2級魔術師を大量に動員するはずで、私の妻も2級魔術師なのです。
妻が宇宙へ吸い出される等、私には耐えられません、ですから私にチャンスを下さい」
「お前は、良くも抜け抜けと、妻がとか言えるな…」
「ちょっと仁、こっちに来て」
洞窟の外に出た途端、ゴチン!と頭に拳骨が落ちた。
「冷静になりなさい、全く。
夫が妻や家族を思うのは、当たり前でしょ。
それに疫病を撒いた事を責めるなら、彼じゃないでしょ、彼は見捨てられるレベルの下っ端よ」
「んな事は分かってるって。
もう、俺の思惑も聞いてくれよ。
いきなり拳骨とか、あんまりだろ」
「そう、なら聞くわよ」
アメリアは、何で上から目線なんだ?
それにしても、未だ銃声がするって事は、抵抗を止めない部隊も居るんだな…。
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