グリストルム

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静かな夜を過ごし、ベッドの中でゆったりとした朝を過ごしてると、部屋のドアがバンッ!と勢いよく開き。 「仁様!置いてかれました!」 と、半ベソのメイリンが飛び込んで来た。 「そっかそっか、アイラに置いてかれたのか」 「酷いです、3人だけで行っちゃうなんて」 ん?3人? 「ふぁ〜、仁、おはよ〜」 おいおい、アメリア…どうやったら、パジャマがそうなるんだ? ボタンが半分外れてるし、ズボンもずり落ちて更に裾を踏んでるから、この上なくだらしなく見える。 「アメリア、おはよう。 てかさ、せめて身支度してから部屋から出ろよ」 「良いじゃ無いの、どうせこのフロアーは貸切なんだから」 て事は、アイラは誰と出掛けたんだ? 「メイリン、アイラと一緒に出掛けたのは誰なんだ?」 「犬とウサギを連れてったわよ」 「アメリア、幾ら何でも言い方が…」 「あら、事実だもの。 土地を探すのに、私やリラが出来る事はアイラも当然出来るからね。 土地探しでアイラが必要とする能力を持つのは、亜人であるあの2人の動物的な所なんだから当然でしょ」 「ねっ、猫は…」 「要らないでしょ」 「酷いですぅ」 メイリンが、うわぁ〜んと泣き付く。 「メイリン、人それぞれに得て不得手があるものよ。 今回は、たまたまあの2人の能力が必要だから、アイラは連れて行っただけ。 貴女は、シュアンの様に匂いを嗅ぎ分けたり水質や水脈の善し悪しを判断したり、クレアの様に、遠くの音を聞き分けたり地質を判断したり出来る? 私達に必要なのは、景色が良いだけの土地じゃ無いの、分かるでしょ?」 「ゔぅぅ…」 グゥの音も出ないか。 「アメリア様、そんなストレートに追い詰めたら、メイリンが可哀想ですよ。 成りは兎も角、未だ子供なんですから」 言いながら、リラが現れた。
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