グリストルム

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一瞬にして買出し組が消えると、ポツンと俺とアモンが残された。 「おい」 「仕方無い、イルハムが待ってるだろうから「おいっ!」」 「何だよ」 「何だよ、じゃ無かろう。 さっきから、吾輩を無視しおってからに」 「和尚に、何かを聞く必要は無いだろ」 「まぁ、それは…」 「なっ?」 「いや、有る、有るぞ」 「何を聞けば良いんだ?」 「吾輩はどうするか、とか?」 「もう、彼奴等行っちまったんだから、聞くまでも無いだろう」 いちいち、面倒臭い化け猫だな。 「じゃあ和尚は、これからどうするんだ? 此処で留守番してても良いんだぞ」 すると、シュルっと俺の首から離れて下に降り。 「うむ、昼行灯しとる」 「あっそ、それじゃ留守番宜しくな」 と、アモンの方へ向いた途端。 「と思わせといて… んな訳なかろう!吾輩も一緒に行くぞ」 と、走って来て飛び付いた。 「うおっ!後ろから飛び付いたら危ねえだろ。 てか、行きたいなら素直に一緒にって言えよ、ったく面倒な化け猫だな」 「誰がじゃ!」 「和尚に決まってんだろ。 それより和尚は、何で買い出しに行かなかったんだ?」 「奴等が、吾輩の心を壊すからじゃ」 「その心は?」 「二度と着ぐるみなんぞ、着ん!」 あ〜、そう言うことか。 未だ、根に持ってたんだな。 「笑い事では無いわ! 吾輩の心はな、あの珍妙な仮装をさせられて甚く傷付いたんじゃ」 「その割に、サングラスは気に入ってなかったか?」 「あ…これはな、まあ」 どっから出したのか、そのサングラスを掛けて得意げに言った。
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