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そんな和尚を肩に乗せてアモンと2人、イルハムが居るはずの事務所へ向かう。
何度かは来てるけど…。
「此処は、来るたびに新しい建屋が増えてて、毎度景色が変わるな」
「そうだな、どんどん人も仕事も増えておるからな。
仁も、もう少し来る回数を増やさねば」
「あはははっ」
なんて会話をしながら、イルハムが居る建物に入る。
「イルハム殿は、おいでかな?」
そう声を掛けると、事務所の中の目が一斉にアモンに向けられる。
壮年の女性が立ち上がると。
「ヨンネ様、いらっしゃいませ。
イルハム副団長は、訓練場へ行かれましたので、ヨンネ様が来られたと伝えて来ます」
「いやいや、オブリナさん、それには及びません。
今日は団長も来て居ますので、儂等の方が訓練場へ行きましょう」
アモンは、名前覚えてんだ…俺には無理だ。
で、団長の一言に、今度はオレが一斉に注目を浴びる。
「団長殿、お初にお目に掛かります。
私は主計担当の、オブリナと申します」
まあ、来ても事務所はスルーしてたから、此処は皆んなお初です。
「初めまして、団長の仁です。
いつも、真っ直ぐ訓練場へ行ってたもので、皆さんに挨拶出来ずで、すみませんでした」
すると、一人一人立ち上がり、備品装備、総務等々、各々の役割と名前を紹介しながら挨拶してくれた。
「災害は、現場で起きて居ます。
その現場に、常に身を置いておられる団長や隊員の皆さんが、判断に困ったり立ち往生したりしない様、私達裏方はめいいっぱい支えて行きたいと思います」
「色々苦労を掛けると思いますが、よろしくお願いします。
皆さんに安心して後ろを任せておける、それがあればこその現場活動ですので、今後も隊員の支えになって下さい」
そう挨拶して事務所を辞する。
訓練場へと建屋を出ると。
「中々言う様になったの。
まさか、仁が世辞まで言うとは思わなんだわ」
この化け猫は…。
腹立ち紛れに髭を引っ張ると、ビョーンと顔の皮が伸びた。
ゔっ…、此奴はゴム製か?
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