グリストルム

18/33
前へ
/633ページ
次へ
和尚の猫パンチを喰らいながら、訓練場へ着くと、俺達に気付いた隊員が駆けて来た。 「団長殿、ヨンネ様、いらっしゃいませ」 「よおアレンか、久しぶりだな。 ちゃんと、イルハムの言う事聞いてるか? 所で、今日は何の訓練してるんだ?」 「仁さ…団長、ちゃんとやってますよ。 ここ数日、水難救助、山岳救助、そして災害捜索と訓練を進めて来て居ます」 ん…? 「お前達が主体のか?」 「えっ?ご存知なんですか?」 「仁、どう言う意味だ?」 アモンが、不思議そうな顔をする。 「うん、水難、山岳、災害捜索と来ると…」 その瞬間、背筋に悪寒が走り、周りを見るも何も無い。 と… 「仁しゃーん!」 後ろから、聞き覚えのある声が。 「アレン、まさかお前らの訓練ってのは、ハンドラー…」 「はい」 言いながら、俺はアレンの返事を途中まで聞いて走りだした。 「まってぇー!逃げないでぇ!」 奴め、思いの外足が速い。 首に巻き付いてる和尚を掴むと、そのまま後ろへ投げる。 「こらっ!仁!何をする…」 その和尚を、何と投げ返して来た。 「お前らぁ!」 空中で体制を立て直した和尚の猫キックが、逃げる俺の背中に決まり、俺は見事にダイビング状態に転んだ。 「えへへっ、捕まえた。 もう、何で逃げるんですかあ」 って、追っ掛けたり、転んでるのを覗き込んでツンツンしたり、するからだろ。 「エルマ、お前が何で此処に居る?」 「家のワンコ達を訓練する為ですよ」 「じゃ無くて、何で…」 これじゃ、此奴とは堂々巡りになるな。 「お前が来る必要無いだろ」 「団長、必要有りますよ。 私達が習ってるんですから」 アレンが、起き上がる様に手を差し出した。 「エルマが先生?」 「はい、私は先生なんです。 しかも、水難救助向きの犬、山岳救助向きの犬、災害現場の瓦礫の中での捜索に向いてる犬と、犬種もそうですが犬其々に性格も違いますから、アレン君達隊員に合わせた犬を選んで、パートナーとしての絆作りも併せて指導してるんです。 それでです「いや、話は分かった」」 ほっとくと何時迄も話しそうなので、必要な話が途切れた所で遮る。
/633ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加