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「イルハムは何処に居るんだ?」
「副団長とジョシュが、今日の被災者役です」
「成る程な、それで姿が見えないんだ」
「壮大な隠れんぼじゃな」
俺の肩に飛び乗ると、和尚が呟いた。
「おいおい、救難捜索を隠れんぼと一緒にすんなって」
「いえ、訓練は同じですよ。
そうやって、犬もハンドラーも探し方を学んで行くんです」
「そうした訓練を通して、人と犬の絆も結ばれていくんじゃな。
アレン、是非続きを見せてくれんかの」
アモンに促されると、走って戻って行った。
「仁さん、嫁ーズの皆さんは?」
こら、俺の腕に絡まるな。
「皆んな所用で出掛けてるよ」
「そっ、そうなんですね」
やけに嬉しそうだな。
てか、エルマが腕に絡まり付いて歩きづらい。
「それにしても、良く犬を救難や捜索に使おうなんて、思い付いたな」
ゔっ…止めろ、その上目遣いで見つめるのは…
「はい、犬を躾訓練してる時、遊びで隠れんぼをしたり泳いでる途中で犬に掴まったりしたら、犬によってはそうした事に特性を持った犬種が居る事に気付いたんです。
それで…ゔっぐぇ、がっ!」
「エルマ、一遍死んで見る」
此奴だけは、相変わらず容赦なく過激だな。
潰された蛙の様な声がしたと思ったら、うつ伏せに倒れており、その上に乗っかり短刀でその頬をペチペチするシュアン。
「なっ、何で嫁ーズが居るんでしゅか」
抗議の目で、エルマが俺を見る。
すると、すっと別の腕が俺に絡まり。
「シュアン、エルマさんを殺すと後が面倒だから、止めてね」
アイラさん、あんた怖いわ。
「ったく、仁様もですよ。
ちょっと嫁ーズが目を離すと、直ぐにこれなんですから」
言いながら、アイラとは反対の腕に、クレアが絡まり付いて来た。
「うさ耳、どさくさ紛れで何してる」
シュアンが短刀を向けると、クレアはスッと俺の後ろに隠れやがった。
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