グリストルム

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「アイラ、お主ら土地は見つかったのか?」 「はい、お祖父様。 ソーバ湖と山脈の間地に、なだらかな地形の森林帯が在ります。 別荘地やリゾート地からは少し奥ですが、地質も硬い岩盤ですし、万が一火山が噴火しても安全が確保出来そうな、良いエリアです。 それに、シュアンによれば、掘れば温泉水脈も飲める地下水も出るそうですので、候補としては良いと」 ソーバ湖?これもダジャレか? 「ほう、そこまで調べて来たか」 うどんだのそばだのと、アモンもダジャレ見たいな名前はスルーなのか? 「はい、本当は菜園も作るとして、地質に合う野菜も調べたかったのですが… 嫌な悪寒がしたので…」 アイラ、言い回しがおかしく無いか? 「慌てて戻って来たか」 和尚、余計な事は。 「はい、和尚様。予感は当たってました」 と、何で俺を睨む? 俺は何にもしてねぇだろ。 「シュアンしゃん、動けない…降りで下しゃい」 言われて、なんで力む? 「シュアン、許して降りて上げなさい」 「チッ、…エルマに仁様は守れない。 戦いの足手纏い、だから友達以上になろうとしてはダメ」 そこが判断基準なのか? 「そうね…。 エルマさん、仁さんは異世界ウォーカーとして何時召喚されるか分かりません。 もしかしたら、異世界に飛ぶのは、仁さんと2人だけと言う時が有るかも知れ無いのです。 その時、我が身を自分で護って仁さんを独りにしない事、そして盾となって仁さんを護りながら戦いが出来る事、それが役割なんです。 それが出来ない人、その力が無い人、何よりもその覚悟が無い人を、私達は嫁として受け入れる事は出来ないんです」 そっ、そうなのか? そんな掟、何時出来たんだ? 「なっ、なら…友達で…」 あらら、エルマ…あっさりしてるな。 「はい、お友達なら私達も大歓迎ですよ。 但し、私達も女ですから、女の嫉妬は恐いですよ。 その一線は超えない様に、お願いしますね」 おぉ、アイラも言うね。 「は、話は済んだ様じゃな」 「アモン、何で孫娘にビビってんだよ」 「今のアイラが、生前のキアナにそっくり過ぎてな…思わず肝が冷えた」 「キアナ?」 「私のお祖母様ですよ。 お祖父様が、絶対的に頭が上がらなかった、ヒルヴェラの影の責任者です」 「長もかたなしだな」 「喧しいわい、仁とて同じじゃろ」 って、何でシュアンとクレアがウンウン頷いてんだよ。
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