グリストルム

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その後アレンとイルハムに、ジョシュも交え、試しに亜人の隊員だけで幾つかチームを作って、組合せを変えながら訓練して見る方向になった。 犬を連れて行けない地域での救難だけじゃ無く、戦闘時行方不明者の捜索や救出にも役立ちそうとイルハムは、違う方面でも乗り気だ。 動物を連れ歩くリスクが減るし、何より亜人は総じて運動能力が高いので、そうした活躍の場が有れば、地位向上にも役立つだろう。 「じ、仁様…私は」 「エルマ、君の居るべきは此処じゃ無いだろ? 今回は、犬を使った訓練だからの参加で、それが落ち着いたら、本来やるべき事が有るんじゃ無いのか?」 そんなにしょんぼりされたら、何だか俺が悪い見たいな気になるだろ。 「エルマさん、何も最前線で救助や捜索するだけが救難団に関わる仕事じゃ無いですよ。 後方支援も、大切な仕事です。 エルマさんなら、ビーバーをもっと増やして躾けたり、犬を増やして活躍の場を作ったり…、そうですね、犬のトレーナーを公的に派遣したりも出来ますね。 その為には、エルマさんのノウハウを大勢の若者に指導する機関も必要です。 それから、犬達にだって活躍の場はもっと有ると思いますよ。 例えば、目の不自由な方々の目の代わりになってくれる犬や、震災の被災者の方々の心を癒やしてあげられる犬達を見つけて増やすとかね」 「目の代わりになりそうな、利発な犬なら探せそうだけど、犬が心の癒しになるの?」 「えぇ、私達も心が沈んだり傷付いたりした時には、和尚様をモフモフしたり肉球をプニプニすると心が救われたりするんです。 和尚様ですら、そうした役に立つんですから」 「すら?これアイラ、聞き捨てならんぞ」 と言った途端、首に巻き付いたままなので、お腹を揉み揉みされて腰砕けになった。 やるな、アイラさん。 「それじゃ、私の仕事も皆さんのお役に立てる?」 「今まで動物オタクと言われた知識と経験が、何よりも大切な武器なんです。 エルマさんだからこそ、出来る事では無いですか。 それに動物園だって、異世界では絶滅してしまった動物がエルマさんの手で此処では生きて居ます。 何時か、国中の人々が観に来る時が来ます。 今は未だ、来たくても移動手段が無いのと、動物園の存在が知られて居ないからだけだと思いますよ」
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