グリストルム

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「もしかして、その為に此処へ来たとか?」 「思い立ったら即行動、なんてね。 まあ、本当はベルゲン殿に用が有ったんだけど、仁の世界に買い物に行って留守って事だからさ、だから序でよ」 誰がんな事教えたんだ? 「何、不思議そうな顔をしてるの? 私とマリアは、今じゃ茶飲み友達よ。 嫁達からの情報は、マリア経由で全部共有してるの」 「茶飲みって…」 「忘れてない?私は魔導師よ。 だから、どんな」 「言ってもイメージ出来ませんよ」 「なら、イメージ出来る様に説明なさい」 「仁さん、それは私も聞きたいです」 とアイラ、それにシュアンとクレアにアモンも同調した。 「…土楼です」 「何それ、土楼って何? どう言う建築様式になるの?」 仕方が無いので、図解して説明する事に。 「こう言う円形の建物で、外壁の厚さは3〜4メートル、窓は3階以上にしか無くて、部屋は全て中庭に向く形になります。 1階が日中のリビング見たいなもんで、2階は全て倉庫、3階が各人の居室になります。 俺は、この土楼をオーバル型にして、半分を居住空間、もう半分は訓練場や中庭は菜園にしようかと考えてます」 「へえ、初めて見る建築ね。 つまり、個人の割り当ては縦に1階と3階になるわけね。 で、中庭の半分は菜園として、後の半分は何に使うの?」 「未だどう活用するか考えて無いので、取り敢えず芝地か、アウトドアが出来る林にしようかと思います」 「そうね、自然が有るってのは良いわね。 それじゃ、作りに行きましょうか」 「えっ?!」 「土地が決まったんでしょ? なら、後は作るだけじゃないの、他に何か必要な事でも有るの?」 「もしかして、魔法でドーンとなんて考えてたりします? なら、相当な魔力が必要になりますから、完成する迄、泊まり込みって事になりますよ」 「あら、それは想定外ね。 私はそんなに暇じゃ無いからさ。 じゃあ、出来たら伺うから、その時にまたね」 言うなりポンと消えた。 「それじゃ土楼を作るのは、アメリア様が帰ってからって事になりますか?」 「いや、先にやれる事はやっとかないとな。 大きさを決めて縄張りして、木を切って、出来れば井戸も掘っておかないと。 それでさ、土地の所有権は無くても、建築するのに国に話を通しておくとか何か手続きしなくても良いの?」 「それを気にする事は無いぞ。 土地の使用許可も造成建築の許可も、儂が居れば問題無い」 「本当は、ヒルヴェラ家だからですよ」 アイラがこそっと耳打ちした。 「何で、そんな事」 「だって、土地探す時に、お母様にその辺の事も含めて聞いたから」 つまり…マリアさんとマヒナさんの情報源は、アイラだったのか! しかも、どうやら無自覚に…。
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