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「…ねぇ、なんで怒ってるのぉ~?」
俺が黙り込んでチマチマとコーンを一粒ずつ食っていると、彼が眉をハノジにしてそう言った。
「…別に………」
俺は箸を止めて冷蔵庫にある麦茶を取りに行きながらあくまでもそっけなく答える。
「…寝たからぁ?」
若干、涙声でそう聞いてくるから、堪えられなくなりそう。
自分でもなんで下がった口角がいつまでも上がらないのかわからない。
別に彼が悪いわけじゃないのに。
ただ、俺が女の子だったらよかった。
どうしてオスなのか。
どうして子宮がないんだ。
どうして男の子には子宮がないんだ。
どうして俺の所有物は卵子じゃなくて精子なんだよ。
思わずこんなくだらない愚痴が頭を駆け巡る。
「…ねぇ、全然減ってないじゃん」
彼は俺のどんぶりを、箸でツンツンしながら心配そうに言った。
だって、箸がなかなか進まないんだもん。
「…俺が食べちゃうよ?」
俯いて彼を無視していると、にやっとしながら俺を見て、レンゲを俺のどんぶりに近づけた。
「…ん。」
俺は黙ってそのままどんぶりを彼に渡した。
いまは…
あまり食べたくないかも。
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