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あれから夕方まで、一言も会話をしなかった。
俺がおっかない顔して黙り込んでいたから彼も、何も言えなかったんだろう。
自ら作ってしまったこの重い空気に自分で堪えられなくなって、俺は寝室に逃げ込んだ。
もちろん彼はそれを眉をハノジにして眺めていたのだけど。
「ふぅうっ……」
枕に愚痴を叩き込んでは虚しい気持ちになったり。
いつも二人で眠るダブルベットに大の字になってふて寝したりした。
するといつの間にか眠ってしまっていたらしい。
「…まき………」
聞き慣れた声と、俺が大好きな人の香り。
大きな手が俺の頭を撫でたと思うと"ズン…、"とベットの右側が傾いた。
そしてピッタリと俺の背中に体をくっつけてウエストを包みこんだ。
俺は多分彼に背中を向けている状態で、それもそのはず、目を開いて見えたのは左側の壁だったから。
途中、目は覚めていたものの、なんとなく狸寝入り。
すると段々と手が胸へとまわってくる。
それでも我慢、がまんの狸寝入り。
左腕でウエストを完全に抱きしめ、その手はやっぱり胸。
後頭部には押し付けるようなキスをしながら、右手は後ろからほっぺにまわってきた。
するりするりと右腕が首を包み、そして彼は俺の左耳に軽いキスをした。
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