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------雷鳴幸-一----
暫くして、背後から微かに足音が聞こえてきた、
和人が追い付いてきたのだろう。
…もうすぐ、屯所に着いてしまいますね。
先程、あぁは言ったものの今回の非は間違いなく私に有りますからねぇ…。
あの土方君も馬鹿じゃないので話せば解ってはくれるんでしょうけど………………はぁ~…面倒くせぇえ!!!!!!!!
などと思っているうちに、目的地にたどり着いてしまった…。
小ぶりだが、敷地の広い立派な屋敷、門には見慣れすぎた看板。
‘新撰組屯所’
うわぁ…着いちゃいましたよ。
これから起こりうる事を想像してしまった私は気分を落としながらも門へ歩いて行く。
そんな私に気付いたのか、門番の一人が声をあげた。
「ら…雷鳴優長!!、鶺さん!こんな時間まで一体どちらに!?」
「いや~、色々ありましてねぇ~、ただいまぁ♪」
とりあえず、笑って誤魔化そう。
後ろで和人が申し訳無さそうな顔をしている。
あらあら、さっきの本気にしてるんですか?
和人は馬鹿ですねぇ~。
堂々と門に入り、真っ直ぐ土方君の部屋に向かっていると
「優長、鶺さん」
落ち着いた声で私達を呼び止めた、切れ長の目に良く似合う独特の雰囲気を持った『監察方』の
山崎 烝 (ヤマザキ ススム)君だ。
「ありゃ?、山崎君が珍しいですね、何かありましたか?」
自分の事を棚にあげ冗談半分で彼に語りかけると、山崎君は首を縦にふった。
「はい。優長、直ぐに副長室におこし下さい」
おや。
これは本気で何かありそうですね、どうやら帰りが遅くなった事の説教とはまた別件のようだ。
「分かりました。和人、君は部屋に戻りなさい」
「はい」
和人も事情を悟り、私達に一礼して戻っていく。
「行きましょう。優長」
「えぇ」
冷静になってみれば、山崎君が直接呼びに来たのなんて初めてでしたね。
そんなに重要な件なのでしょうか?
内心、様々な思考を巡らせながら私は山崎君と共に副長室へ向かった。
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