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「まぁまぁ、二人ともそろそろ本題に入ろうじゃないか」
今にも雷鳴優長に殴り掛かろうとする土方副長を制している新撰組局長、近藤 勇(コンドウ イサミ)
「近藤さんの言う通りですよ。ほら、山崎君も待っているじゃないか」
穏やかな声色で俺に視線をうつしなが告げる、総長 山南 敬助(ヤマナミ ケイスケ)。
「…悪い。報告頼む、山崎君」
四名の視線が俺に集まり、副長が指示してきた。
「はっ。御報告します、例の薪炭商をここ数日間見張ったところ、度々浪人の出入りが確認されます」
「例の薪炭商?」
「四条小橋の桝屋だ…」
総長の言葉に副長が答える。
薪炭商の桝屋、先日『最近、妙に桝屋付近で浪人をよく見かける』という情報が入り、十日程まえから桝屋に張り込みを行った。
これを指示したのは副長で局長、総長、優長は今初めてこの事を聞くはずだ。
「あ、そう言えば確かに最近、いかにもって感じの人達をよく見ますねぇ♪」
思い出したと言う様に優長が言う、その表情は何故か満面の笑顔だ。
本当に変わった人やな…。
「一体、何があるというんだ?…」
顔を険しくさせた局長が唸るように呟く。
「まだ分からん…。ご苦労山崎君、君は引続き桝屋の調査を続けてくれ」
「はっ…。でわ、失礼します」
副長の言葉に頭を下げ俺は副長室を後にした。
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