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元治元年(1864)4月
桜が咲き乱れ、
多くの店が建ち並び人々で賑わう京の都も丑三つ時にもなれば辺りは静まりかえっていた。
「はあはあはあはあ」
その静寂の中を一人の男が全速力で走る。
男は物乞いを装った通り魔だった。
ある時は小通り、ある時は橋の下で物乞いをして金を集め、相手が金を持っている風体だと確認したら懐に忍ばせて有る小刀で相手を殺し、
金を奪うという事を繰り返してきた。
ヒュンッ
ヒュンッ
背後から風を切る様な音が聞こえる。
「!?ッひぃぎゃ!?ッ」
ガキンッと音をたてて足下に何かが突き刺さった。
「こんばんは。物乞いさん、鬼ごっこは終わりですか?」
「!?ッ」
男の目の前にいつの間にか人が立っていて、穏やかな口調で語りかけてくる
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