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…のは一瞬だった。 ボトッ。 不気味な音をたてて物乞いの首が落ちる。 「~~…もぉ~!和人ぉ~!!!。何て事するんですか!!私の着物が小汚ないオヤジの返り血で台無しです!!」 ぷくっ。と頬を膨らませて闇の中へ紛れる気配に向かって叫ぶ。 彼の言う通り、その着物は数点の紅い斑が出来ていた。 「申し訳ありません」 蚊の鳴くような小さな声が民家の間から聞こえたかと思うと、ゆっくりと何者かがその間から現れた。 黒の袴姿、この時代にはまだ珍しい短髪は耳にかかるかという所までしかなく、着物とは対象的にその肌は白くしみ一つない。 全体的に、素晴らしい美形と言えなくも無いが、月明かりによって見えるその眼は死んだ魚の様に生気を感じさせなく、不気味な印象をあたえる男だ。
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