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「まったくぅ~!、せっかく今日は非番でゆっくり出来るから和人を夕食に誘ったというのに……」
「……」
「帰りに指名手配されている小汚ない物乞いを見つけて…」
足下に転がる物乞いの胴体から離れた首に目をやる。
「そのまま、鬼ごっこになるなんて予想外過ぎて笑えます」
と言うわりには男の眼は笑っていない。
「申し訳ありません。雷鳴さん…」
再度、謝罪して頭を下げる黒付くめの男、鶺 和人(セキ カズト)。
確かに事の発端は、夕食の帰りに例の物乞いを発見して和人が捕らえようとした所、相手に勘付かれて追う事になってしまったのが始まりだと、彼自身が自負していた。
「まったくですよー!」
和人の上司であり、師匠であり、義兄である男、
雷鳴 幸一(ライメイ コウイチ)。
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