目覚めの朝、賢者の話

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「いやいやお初にお目にかかりますエリシオン様。私、リューグナーと申します」 本名を名乗ろうとして、止める。変わりに今の恰好にそう西洋風の名を名乗る。 「私のことを知ってるの?」 「ええ、勿論…」 平静を装いつつ、頭の中の情報を引き出す。 『エリシオン・シュトラウス』この少女については女中たちの噂を盗聴(きい)ている。 王族で三姉妹の中の末娘。 好奇心旺盛だの魚が苦手だの。他にも幾つかあるが今それらは必要ない。 今回彼女を判断する材料はよく話題に上がっていた、この銀髪碧眼だ。 「そう。ところで、あなた、さっきそこでお父様の置物に触れていたけれど…何をしてたのかしら?」 「ああ…私、鑑定士をしておりまして、世界各地を歩き回っているのです。この度お父上…ジャノス国王に呼ばれ、これらを鑑定をして世界各地を歩き回っているのです。この度お父上…ジャノス国王に呼ばれ、これらを鑑定をしていたのです」 「あら、世界中?」 世界中と言う言葉に反応を見せる。 「ええ、世界中。そうですね、これなどいかがでしょう?とある島国で売られていた“黄金飴”と呼ばれる代物です。どうぞお一つ」 「うわぁ…きれい」 100円均一の店で買った飴なのだが、彼女の反応を見る限りこれは珍しいのかもしれない。
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