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「ちょっと辰兄!虎彦!」
いつになく声を張り上げ、ちょうど玄関にいた二人の前へと進み出る。
「うお、何だよ博行」
「あ、もしかして博行も混ぜてほしかったのか?」
「そうじゃなくて……」
まだ事の次第を理解出来ていないらしい犯人二人は、呆れるまでに朗らかな表情を浮かべていた。
そこでようやく足元から伝わる廊下の冷気を自覚したが、ここで引き下がるわけにはいかない。
「峻君にずっと雪球当ててたんでしょ?峻君寒がってたよ」
あの「ばたんきゅー」という音が聞こえてきそうな目を思い出して昂る気持ちを抑え、静かにそう言った。
峻君も室内の三人と同じく完全防寒装備だが、外気に加えて雪玉など当てられたらひとたまりもないだろう。
「「あ」」
犯人二人は事をようやく理解できたようで、顔を見合わせてみるみる内に表情を変えていった。
「悪い……」
「やりすぎちまったな……」
「それは峻君に言ってください」
「「はーい……」」
項垂れる二人に少しだけ「してやったり」な気持ちで笑みを浮かべながら、漏れはこたつから出たついでにと、お茶を入れるべくキッチンへ向かった。
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