二人の日常

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「碧海様、何度いったらやめてくれるんですか」 「そちこそ、何度いったら敬語がはずれるんじゃ」 バチバチバチ、二人の間に火花が散る。 「ハァ。敬語は頑張ってはずすから、一人でなんでもしようとするのはやめてくれ」 いつも、いつも、俺がおれることになる。 俺は、華条蒼生(カジョウ イブキ)。鈴風碧海様の執事だ。 執事と言っても本当に主従関係がある訳じゃない。 この学園は、お金持ちのお坊っちゃまやお嬢様が沢山通う学校だ。そして、男は女の扱いを、女は男の見る目を養うためにお嬢様と執事という形をとっている。 まぁ、俺みたいに執事の家系の奴が、いい主に出会うために生徒になるケースも少なくないらしいけど……。 因みに俺は無理矢理ここに通わされたから、誰にも仕えるつもりなんて、なかった。でも、それは入学初日に覆されたっけなぁ。って、それは今、良いや。 それより今は碧海様についてだな。このお方は型破りなお嬢様で、俺の存在意義をことごとくぶっ潰していく。敬語を使うなとか、端から見ると訳のわからない命令(?)ばかりだ。まぁ、これはある種の誓いだけど。
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