芳乃の事情

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 私は鈴木芳乃15歳高校一年生。  高校に入学して、仲のいい友達も二人、すぐできた。  絢ちゃんとリエちゃん。  いつも三人で学校帰りにスタバに寄ったりファミレスに寄ったり、土日にはちょっと遠くのショッピングモールに行ってぶらぶらしたり、高校生活を満喫している。 「あとちょっと、待っててくださいねー」  ラップの下の髪を確認して、美容師がまた去って行った。  今日私は前からやってみたかった縮毛矯正をしに美容院に来てる。  しかし縮毛矯正がこんなに時間がかかるものとは。  はぁ、スマホを手元に置いとけば良かった。  今日来ている洋服がポケットがないので持ってるのも邪魔だなと思ってカバンに入れっぱなし。  あー肩凝った。  今度の休みはカラオケに行くけど、お金があんまりないなぁ。バイトもしてみたいなぁー。 「流してアイロンしますねーこちらにどうぞ」  シャンプー台に移動し、髪につけた薬剤を流し終わり、さっき座っていたところにまた戻った。  美容師がカチャカチャと準備を始める。  するともう一人、別の手伝いの美容師の女性がやってきて、二人がかりで両側からカチカチとアイロンで髪を伸ばし始めた。  その新たにやってきた美容師を見ると、お腹が大きかった。  こんなに大きなお腹の妊婦さんなのにまだ働けるんだ、と思うと同時に、私は家での出来事を思い出した。 「芳乃ーお母さん妊娠したから」  食事が終わってスマホをいじっている私にこれまたスマホをいじっている母が言った言葉に、悪い冗談かと思ってスマホを見続けた。 「それで再婚も決まったから、引越すわね」  妊娠? 再婚? 母って今いくつだっけ、えっと私と25差だから、40か。  え、40ってまだ子ども産めるんだ、とそんなところに驚いていた。 「ねぇ、聞いてる?」 「いつ?」  顔を上げたら不機嫌そうな母と目が合った。 「予定日は6月のはじめくらい。引越しは……」 「6月?もうすぐじゃん」 「そうね。あんたの受験発表終わるまで言うの待っててあげたのよ。優しいでしょ? てかあんた私のお腹大きくなってきてるのに全然気づかないんだもん笑っちゃう」
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