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ロイは一人、荒れ果てたイシュヴァールの地を見ていた。
かつてはそこもイシュヴァール人で溢れかえり、賑わっていた街の一つだったが、殲滅戦でロイが指一つ鳴らしただけで滅び、そのまま放置された土地だった。
ロイは胸の痛みを感じ、無意識に胸を抑えた。
「私は…一体どれだけ人を殺してきたんだろう…」
目を細め、その場から立ち去ろうとすると人の気配を感じた。
あんな荒れ地だったのに人が居るわけがないと思ったロイは、人の気配を感じた方を向くと、男が一人、佇んでいた。
大柄でがっしりとした体格に、金髪蒼眼の男だ。
「やぁ…はじめまして」
男は呑気に挨拶をする。
ロイはその男に警戒心を向けた。
その男は困ったような顔を浮かべる。
「貴様…一体何処からやって来た?さっきまでいなかっただろう?」
男はため息をつき「やれやれ…」と呟いた。
「こっちは単に貴方…ロイ・マスタング准将に用が有って来たんだけどなぁ…」
ぽりぽりと頭の後ろをかきながら言う男をロイは睨み付ける。
「だったら、その用件をさっさとい…」
ロイは言葉を放している最中に言葉をきり、右へ跳んだ。
すると、ものすごい大きな鎌を持った少女がさっきまでロイがいたところを重いっきり切り裂いた。
さすがのロイもこれは驚く。
「何呑気に喋ってんのさ、アホゲーテ!!
とっととボスに言われたこと、遂行しなさいよ!!」
かわいらしいピンクの髪にポニーテールに結った少女は強い口調で男…ゲーテに言った。
この時、ロイは護衛を着けるべきだったと後悔していた。
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