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「いきなり現れておいて、何が目的なのよ…!!」
リザは震える身体を隠すかのように声を搾り出す。
しかし、その声も震えていた。
女はふと笑う。
「まだ、時は満ちていないわ…。まだ貴女には話すことなどないもの。そうねぇ…強いて言うなら視察…て、とこかしら」
サーベルをリザに向ける。
「まず、あの焔の錬金術師の手駒を減らす事から始めましょうか…」
リザは瞬時に身の危機が迫った事を察する。
銃の安全装置を外し、銃口を女に向けた。
しかし、女は余裕の笑みを浮かべていた。
「あら、先程でその銃は使い物にならないことを学んだのでは?」
一歩ずつリザに近づく女。
リザは恐怖のあまり、銃を両手で固くにぎりしめた。
さっきから震えが止まらない。
リザが一発、発砲した。
その鉛弾は見事に女の眉間に命中したが、死ぬどころか素早く再生し、何事もなかったかのように振る舞う。
「あら、無駄よ」
そう言って、腕を振り上げた。
その腕には、今にも獲物を狩ろうとする刃があった。
リザはもう、何もできない。
「さよなら、焔の副官」
そう言って、サーベルを振り下ろした。
リザは固く目を閉ざした。
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