~一章~

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「ゴメ、遅れた」 気持ちの欠片すら乗っていない謝罪をタバコ臭い口から発すると、短髪オールバックの小柄な学生が入ってくる。 「お前…早くきなさいと言っただろ?さっき連絡した小久保より遅いとは弛んでいるぞ?」 秋山はあきれながら学生のほうを見る。 「はいはい、説教はええねん。それより秋永灰皿出して。人の貴重な時間潰したんやからタバコぐらいすわせてぇや」 この学園1の問題児 丸山 竜也(まるやまたつや) 大阪からこっちに引っ越してきて以来、喧嘩では無敗、お礼参りに来た者40人を一人で全員病院送りにしたという伝説すら持つ男である。 まだ18才でありながらチェーンスモーカーでこの学園では誰からも恐れられている。 何回も警察沙汰になっているにもかかわらず、いまだに停学にすらなったことがないと言うなぞも持つ 「おまえなぁ…」 あきれながらも秋山は準備室から灰皿を出してくる。 教師としてはありえないかもしれないが、この学園で特別扱いされている小久保と丸山の前なら大丈夫である。 「小久保もすうか? うまいでぇ~」 「俺はいりませんよ~もう煙たいな…」 小久保は笑いながら手で煙を扇いでいる。 「気にしたら負けやで!」 丸山も笑いながらタバコの副流煙を小久保に吹きかけていた。 そんな二人を見ながら秋永は静かに白衣を脱ぐ。 すると 「ほなそろそろ始めようか」 秋永の声が普段の優しい高めの声から、低い声に変わり、その瞬間二人もマジメに秋永を見つめた。
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