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その言葉を頭に置き、目の前の奴をもう一度直視する。
モデルのような青年。コイツがホ…モ……
いやいやいやいやいや
もったいない。
てか、酷すぎる。
女の子なんてよりどりみどりの顔を持っているのに……
それを持て余すなんて……
ふとそのとき柚流が気が付いた。
いや、そう!
皆が皆ホモなわけないじゃん!
ホモだったらここに連れてこられるわけがない! 俺は阿呆か!
柚流は自虐しながらも嬉しそうにイケメンを見つめなおした。
こんなカッコイイ奴がホモだったら俺イケメンみんなホモにしか見えなくなるわ~…
それにしても、なぜ校長はこんな奴を連れてきたんだ? しかもカツラかぶせてさ…
男性恐怖症の女でもあるまいし。
一見普通に見えるソイツに、校長のただのドッキリだったんじゃないかというのが頭の隅に浮き上がる。
ただ転校してくるコイツに学園案内するだけって感じかな?
ホント、校長の我儘がいつもこれくらいのお茶目なドッキリなら、どんなに楽なものか。
文句さえ言わないよ。こんなカツラ被るくらいで済むなら。
一気に気の抜けた俺は、バタンッと大きな音を立てドアを閉めた。
その音に、やっとイケメンは俺がいることに気が付いたのか、ゆっくりとこちらを振り向いた。
そして俺を捉えた瞬間にカッと目を見開き、ビクリと体を震わせた。
え?
なにそのびっくりした目。
「うわぁあ!?!?!? 女ぁあ!!!!」
ん?
心の中で柚流は落胆した。
≪やっぱりな≫
という文字が頭の中にこだまする。
あの校長…
また厄介なものを連れてきやがった……
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